あたしは眠ろうとしても眠れなかった。
暖かい姉の胸で背中を叩かれながら、
「友奈は誰にも嫌われないよ」
そう言われながら涙は引いていった。
「友奈、もう6時だから学校の用意しなさい」
優しくあたしに言って、階段を降りる姉の後ろ姿。
「………お姉ちゃんになりたい」
ぼそ、と言った言葉。
けど、本心だった。
幼い頃からお姉ちゃんと同じことをさせられてたあたし。
ピアノだって、スイミングだって、習字だって、そろばんだって……。
いっつもお姉ちゃんとは比べられてた。
“ お姉ちゃんはあんなにピアノが上手なのに ”
“ お姉ちゃんはあんなに字が上手なのに ”
いっつもいっつも
“お姉ちゃんは”“お姉ちゃんは”
お姉ちゃんに勝るものと言ったら、水泳しかなくて水泳部に入ったんだけど、
“ダントツあたしが1番。”
という訳ではなかった。
あたしは、不完全な未完成品、だから。


