桜舞い散る季節。 京の都の桜の花は風に乗り、花びらとなって空へと舞う。 それは風が止むまで何処までも飛んでいく。 だが一片の花びらがある青年の直衣に引っ掛かり、飛ぶのを終えた。 それに気が付いた青年はその花びらをそっと摘み、それをまた風の中に戻した。 再び風に乗って飛んでいく花びら。 何処までも何処までも…―――。