「席替えをしまーす!!」

教室中に響く担任の甲高い声。

正直かなりうるさい。

だけどそれ以上にうるさいのは

「やったー!!」

一斉に叫んだ38人の生徒の声。

まぁ席替えは月に1回の大イベントだし

仕方ないのかな。

担任がクジを作っている間、教室内は

「誰の隣になるんだろ?」

「あの人の隣は嫌だな」

「後ろの席がいいな」

とかいう声でざわついていた。

その中に混ざって、隣が誰になるのか

内心ドキドキしてるあたし、美月。


何でドキドキしてるかというと、

好きな人がいるから。


和斗くん。

頭が良くて運動神経抜群。

顔もまあまあかっこいい。

だけどかなりクールで無口だから

ちょっと喋るだけでも苦労する。

それでもあたしは1年間ずっと

想い続けてきた。

多分、たまに笑った時の無邪気な笑顔に

大好きなサッカーを楽しそうにしている

和斗くんのキラキラした姿に

本気で惚れてしまってるんだと思う。


この教室内にも、想う相手は違っても

あたしと同じように

ドキドキしてる子がいるんじゃないかな?

好きな人が同じクラスにいるなら

誰だって隣の席になりたいと思うよね。



和斗くんの隣になりたいなー……。


「それでは、
前の方からクジを引きに来てね!!」

担任がクジを作り終わったようだ。

前の方からどんどんクジを引いていく。

そしてあたしの番…。

クジに書かれている番号を確認して

黒板に書かれた座席を見ると…

真ん中の列の1番後ろの席だった。

場所的には最高だけど…

残念ながら隣の席は和斗くんじゃなくて

圭くんだった。

和斗くんは右側の列の1番後ろ。

通路を挟んで隣だった。

まぁ…近いからいっか。


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