天使のような微笑で

「ねぇ。今日、銀座で握手会するのって俺だけ?」
 
 興奮して振るえる手を押さえつつマネージャーに質問。
 
「そうだけど?」

 もしかして、もしかして。
 彼女は俺に会いに来る!?

 興奮がしだいに緊張に変わり、携帯のキーを震える指で一つ一つ押す。
 
「俺も銀座に居ます」

 それだけ送って彼女の反応をうかがった。

「偶然だね。お買い物ですか?」
 
「仕事だよ」

 そっけない返事にちょっとすねてみた。
 近くに居て、会いたいとは思ってくれないのかな。

 昨日と同様。
 彼女の返事を読むことができずに呼ばれてしまった。

 これから始まる。
 どんなファンの子達に会えるのか楽しみなのと、その中の誰かが彼女なんだという期待を持ちつつ。
 
 会場と控え室の間のカーテンに手をかけた。