天使のような微笑で

 会場近くになり、窓の外へ視線を移す。
 会場前にはかなりの人で賑わっている。

 もしかして、これみんな俺のファン!?
 俺のために集まってくれたの?

 車は会場の裏手に回り停車する。
 
「チケットってもう配られてる?」
 
「ああ」

「俺さ、あの中に並んで良い?」

「はっ?」

「どれだけの人が集まってくれたのか、俺、実感したいんだ」

 無理なお願いにマネージャーは顔をしかめたが、

「しょうがないなぁ」

 苦笑いしながら承諾してもらった。