天使のような微笑で

 メールの送り主は名前も知らない彼女だった。
 
 画面にはペンネームが表示されている。

 思わず頬の筋肉が緩む。

「お疲れ様~。明日は大好きな芸能人の握手会に行きます。これから新しい洋服を買うため電車に乗って移動中です。」

 握手会か。

「誰の握手会に行くの?・・・と」
 
 送信。

 すぐに返事がきた。

「芸能界に興味なさそうなので、恥ずかしくて言えません」

 芸能人な俺が芸能界に興味がないなんて事あるわけないじゃん。

 今までのメールのやり取りからして、そう思われても仕方ないのか。
 反省。

 うなだれていると、バイブ設定になっている携帯が手の中で震えた。