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「これで借りは返したかな」


レイジュラはオレに優雅に微笑む。


「借りだって?」

「あとは、わたしの未来の花嫁への贈り物ってところだね」

「……レイジュラ、まだあきらめてなかったのか」



どこまで本気なんだ?



オレはレイジュラの整った横顔を横目でにらんだ。

レイジュラは涼しい顔してる。



「そこはまだ決着がついているわけじゃないだろう?

シルヴァイラのご両親の転生先は、わたししか知らないからね。

それを知りたければ……」

「何だよ、それ。

オレもそれくらいの魔道、絶対に習得してやる!」


思わずムキになるオレに、レイジュラは冗談めかしてニヤッと笑うと。


ふと、すっかり沈んだ夕日の光の名残がうっすら残る山々に目を向けた。



黒い瞳に美しい景色が映りこむ。



「――ねえ、シレン」

「……?」