月の雫 -君と歩む彼方への道-

「あやまらなくてはいけないのはわしじゃよ。


確かに不幸なことはあった。

だが、自分ばかり責めるんじゃない。


おまえにはこれからの人生がある。

その力を、逆に大勢の人に役立てることができるじゃないか」


「……じいさん……」



シルヴァイラは、ただ、じいさん、とだけ繰り返していた。



「シルヴァイラ」

「……アヴィ」

「また会えてよかった」


アヴィと呼ばれた少年は、やんちゃそうな顔に満面の笑みを浮かべて、それだけ言った。


それに誘発されるように。

村人たちは一斉に口を開いた。


「シルヴァイラ」

「シルヴァイラ」

「シルヴァイラ」

「大好きだよ。大好きなんだよ」

「元気でね」

「わたしたちは大丈夫だから」

「そんなに自分を責めないで」