月の雫 -君と歩む彼方への道-

(シル……)



途中からシルの声は涙混じりになっていって。

聞いてる方が胸をかきむしりたくなるくらいだった。




「――シルヴァイラ」



ふと、かすみの中から老いたしわがれた声がした。


はっ、とシルが息を吸い込む。



「おまえを砂に埋めて清めようと言ったのはわしだ」

「……メルヴィラじいさん」

「両親を突然失ったおまえの気持ちをおしはかることもなく、な。

ただただ自分たちの保身のために――

悪霊払いだといって、おまえを砂に埋めたんだ。


たしかに儀礼は大事だ。

だが、それよりもおまえの気持ちをまず考えるべきだった。


教えばかり優先させて、真に見るべき”人間そのもの”を見なんだ」



「……じいさん」