「……」

「でも、オレは生まれて初めて母さんに反抗して……自由を手に入れた」

「……ああ」

「今じゃ、本当にここに来てよかったって、思ってんだ」

「……そうか」


それを聞いて、オレは心底ほっとする。


「でも……」

「でも?」

「母さんも病気になっちまってさ――

あれは、オレへの復讐じゃないかとすら思えてな。

……オレの選択は正しかったのかって、よくわからなくなったよ」


ルカの苦悩に満ちたつぶやき。


何か言ってやらなくちゃ。

オレは必死で言葉を継いだ。


「ルカ、おまえの魔道は貴重なんだよ。

いるといないじゃ大違いだ」

「……」


そんなことしか言えないオレに、ルカはどこか悲しげに、やさしく微笑み返す。