月の雫 -君と歩む彼方への道-

魔物たちの中では一番そいつが強かったらしく。

2対1でもそいつが負けることはなかった。



(一番強いやつを見極めたな、シルのやつ)



魔道で倒すのとは違って、魔物どうしの戦いはまさに肉弾戦だった。

正直、見ているのもしんどいくらいの。


魔物は少しずつ体力を削り取られ、満身創痍で一体ずつ無惨に地面に沈んでゆく。


まるで弱いものいじめを見ているような、イヤな気分だ。



「何だか、壮絶だな……」


同じことを思ったのか、横でルカがそうつぶやくのが聞こえた。





トカゲ野郎は上空を舞いながら、かつての仲間たちがどうと倒れるのをじっと見届けると。


シルヴァイラの方をその赤い目でさっと振り返った。


次の瞬間、ひゅぅっと低空を舞い、シルヴァイラめがけて、長い首を低く伸ばす。