(――おまえなんだ、シレン)


(――え?)


(他のやつらはもっと強固な壁で自分を守ってる。

誰でも持ってる壁なんだ。

トビラを自分で開かないかぎり、永遠に狭い世界で生きることになる。

みんな、自分を必死で守ってるつもりで、ごくごく狭い世界に生きてるんだ。


……一番壁が厚いのは、レイジュラだ)


(何だって?)


オレは面食らった。


あのレイジュラが?



でも、言われてみればそうかもしれない。

あのいかにも優等生然とした、優雅で自信に満ちあふれた態度の裏側にあるものは、決して見えないから。


レイジュラは、何を守っているんだろう?



(そういや、レイジュラとのペアはどうなんだ?)

(……別にどうもない)


なんだ、今の一瞬の沈黙は。