月の雫 -君と歩む彼方への道-

物音ひとつしない、奇妙な静けさが支配する村。


どの家を覗いても、折り重なる死体だらけ。

子どもも、青年も、赤子も、老人も――


同じ村の人間だ。

当然、みな知っている人ばかりだ。


仲の良かった友達、よくしてくれた老人、よく食べ物をくれたおばさん、遊んでくれた年上のお兄ちゃん――


それが今や、みな一様に顔に恐ろしい苦悶の表情を張り付かせ、

胸を押さえ、

鍵のように曲げた指で空をつかみ……



「ごめんなさい、ごめんなさい……」


ひたすらそうつぶやきながら。

おそろしい絶望の中、必死で生きている人間を探してひたすら歩き回る。

いくら流れても尽きない涙で頬をただただ濡らしながら。