月の雫 -君と歩む彼方への道-

「だけど……ぼくは、人に近づいちゃいけないんだ。

だって……ちょっとその人の不幸を願っただけで、相手が死んでしまったりするんだから。


村のみんなだって、ぼくは明確に死を願ったわけじゃない。

ただ、うとんじられるのがつらくて、”ぼくの前からみんな消えてしまえばいいのに”って思っただけなんだ。


なのに、その次の瞬間、みんな死んでた」


「……」


苦しそうに嗚咽をおさえて唇をかんで、金の目でじっと虚空を見据えて。

輝かしい月の光のような髪も手伝って、その姿はほとんど神々しいとさえ言えた。



「……おまえがぼくに近づいてくるのが、ずっと怖かった。



怖くてたまらなかった。



いつ、おまえを死なせてしまうかわからなかったから」