月の雫 -君と歩む彼方への道-

”階級が上がるのがうれしいのか?”


あのときシルヴィはああ言った。


あのときは、

”階級が上がるのがうれしくないなんてことあるのか?”

なんて内心思っていたけれど。



与えられた第2階級なんて、おまえにとっては悪魔の紋章にすぎなかったんだな。


”大勢の人を一瞬で殺せるほどの、邪悪な魔力の持ち主”という、死の紋章。




シルヴァイラは、力尽きたかのように、呆然としてぐったりと肩を落としていた。

涙のあとを頬にうっすらと残して。


いつも中性的な、その陶器のように白い整った顔が、やけに女らしく見えた。