フランシーヌ

ごうっとジョーの耳元で風が鳴ったような気がした。

そして、フランシーヌは、真っ赤な炎をゆらめかせた火の鳥になって飛んでいった。


――綺麗だね。君は、誰よりも綺麗だよ、フランシーヌ…。


不死鳥の羽根が、ひらりと空を舞ってジョーの掌に落ちてきた。

ジョーは、それを逃げないようにギュッと握りしめた。

それは、握りしめた拳の爪が突き刺さって流した自らの血の色だったかもしれない。