『ジョーは、そこにいるかしら?』

皆の視線が、いっせいにジョーに向いた。

今まで、誰が呼びかけても返事すらしなかった少女が、向こうからご指名なのだ。

ジョーは、皆に押し出されて、マイクの前に立った。

「やあ、フランシーヌ。宇宙はどうだい?」

クスッと少女は笑った。

『ちょっと、寂しいかな』

「じゃあ、戻ってこいよ」

その呼びかけには答えず、フランシーヌは口調を変えた。

『ジョー。あたし、どんなふうに見える?』

ジョーは、左目に巻いた包帯を乱暴にむしり取った。

軍務総長が、慌てて、部屋の光量を下げるよう事務官に指示する。

ゆっくりと、ジョーは、左目を開いた。

目の奥に刺すような刺激が伝わり、ジョーは少しよろめいた。

再び、目を開けて画面の中のフランシーヌを見る。