「俺もそいつの事
詳しくわかってる訳じゃないんだ。
むしろ何も知らないって言った方が
正しいのかもしんねぇ」

「それはどういう事やねん」


眉間にしわを寄せて
さらに続きを促してくる。


「俺がそいつについて知ってるのは
たった一曲の歌声と“女”って事だけ」

「女!?」

「そう、カズマの言葉を借りるなら
“ライオン女”」


驚きで、言葉を失ったまま
目を一瞬大きくするケンゴ。

俺は静かに息を吐き
勢いよく立ち上がった。


「ケンゴお前この後時間あるか?」

「ああ、平気やけど」


“何で?”と視線で訴える。
その瞳を真っすぐに捕えて俺は言った。


「今から俺ん家来い。
全部、話す」