二曲目。

俺とカズマが
音楽をはじめるきっかけとなった
例のバンドの代表曲。


シンプルなロックチェーンの曲で
べースラインが特徴的だ。

曲の中盤には
超技巧を極めたベースソロが始まる。

弦を叩くたびバキバキとした低音が響く。


はじめたばかりの頃は指がついて行かず
悔しくて何度も何度も練習した。

今では目をつぶってでも弾ける。


ケイタの掛け声に合わせ
ジャンブを合わせる俺ら。

一段と高くなる歓声。


背中や首筋に汗が流れ
ぐっしょりと制服を濡らしてたけど
そんなことはかまってらんねぇ。

俺らの熱い思いを
一音一音に込めていく。


ギリキリまで客席に近付き
彼らを煽るように演奏していると
ある人物に目がとまった。


ひときわ異質な存在感。

髪の色は赤。
短髪をツンツンに立たせてて
細い眉に勝ち気な目。

どっからどうみてもパンク少年。


そいつはウズウズした顔で
居心地が悪そうにして
パイプ椅子に大人しく座ってる。

まあ学校行事だし
ハメを外しすぎる奴がいねえか
体育教師陣がずっと睨みをきかせてるから
奴の我慢の理由もわかる。


それでも彼はひそかに足で
リズムを刻んでるようで。


――超我慢してんのまるわかり。
ってそうだ。
イイコト思いついたし。

上手くいくかは五分五分予想。
でもこのまま終わったんじゃつまんねーし
イチかバチかやってみるか。