やばい、調子に乗りすぎた。

腕いいかげん疲れたし
改めて真面目に気合入れをしようとしたら
俺らの気まずそうな視線を
一身に受けたアキが


「私、ロックフェラーセンター前に
仮説ステージ作って
ゲリラライブしたい」


と大きな目をクルリと回して
何かたくらんでるような
悪そうな顔をした。


その提案に俺達は一瞬面食らったように
言葉をなくして顔を見合わせ
その後こらえきれずに吹き出した。


「NYか〜。
クリスマスの時期とかもいいよね」

「なんで、ゲリラライブ。
とりあえず正規の段階踏もうや」

「西条の意見に俺賛成ー!!
そういうの大好きだし」

「アキ、お前マジでうける。
実はお前が一番危険人物だな。
ほんと期待を裏切らねーよ」


ケイタ、ケンゴ、カズマ、俺の順で
そう答えると
アキは得意げな顔をして
うれしそうに微笑んだ。


ステージでは丁度DeFautの演奏が終わり
大歓声の中
汗だくのメンバーが客席に手を振りながら
こちらに向かってくるのが見えた。


改めて全員で顔を見合わせ
重ねた手のひらに力を込める。


「じゃあうちの新メンバーの
たっての希望なんで
目指すはロックフェラーセンターでの
ゲリラライブ。
それまでお前ら気合入れて行くぞ!!」


そして叫び声を上げた後は
それぞれ楽器を手に取った。

DeFautのメンバーが笑顔で俺らとすれ違い
後は任せた任されたと言う言葉の代わりに
それぞれハイタッチを交わす。