PM4:28

COUNT ZERO楽屋....

そろって楽屋に向かい
少し緊張しながら青色のドアをノック。

すぐに中から返事がしてドアを開けると
DeFautのメンバー三人が揃って
俺らを出迎えてくれた。


「お久しぶりです。
ってかそんなわざわざ
立ち上がらなくていいっすから。
なんか恐れ多いです」


楽屋に足を踏み入れながら俺がそう言うと
ギター兼ボーカルの松さんは
全く裏表のないやさしい顔で笑った。


「何言ってんだよ。
やっと君達と一緒にライブが出来るんだ。
嬉しくって態度に出ちゃっただけだよ」


相変わらずいい人すぎて
めちゃめちゃ感動!
それはこっちのセリフですから。


今日のトリを飾るDeFaut。
彼らは地元じゃかなり有名な
3ピースバンドで、

何がすごいって
曲の独創性と個々の演奏力は半端ない。

どの曲も3人とは思えない音の厚みで
曲によっては
ウッドベースやトランペット
民族っぽい太鼓とか
多種多様な楽器が登場する。

だから基本的にはロックなんだろうけど
そんな狭いカテゴリーに
納めていいのかってくらいの
異質な存在だ。


それがよくわかるエピソードがあって

ある曲では歌詞が始めっから最後まで
“ガ”と“ギャ”しかなくて、
ハッキリ言って聴いてた客の8割は
ポカーンとしてた。

偶然彼等のライブを見て
衝撃を受けた俺は
ライブ後何でそんな歌詞にしたか
聞いてみたら

「曲の持つエネルギーを
最大限に表現した結果ああなった」
と何でもない風に松さんは答えたから
感動と尊敬と別の何かで
笑いがしばらく止まらなかった。

それから度々彼等のライブを見に行っては
声かけてもらったりとか
かなり仲良くさせてもらってる。