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学校から向かった先はとあるマンション。

日はすっかり落ちて
街灯の下を少し肌寒い風が吹き抜ける。


俺はiPodの音に耳を傾けながら
エレベーターを降り
ある部屋の前に立った。

そしてイヤフォンを外し
インターフォンを押すと
バタバタと人の足音が近付いてきた。

ガチャリ。


「おかえりなさーい、リョウ。
ご飯にする?
それともお風呂?」

「新婚夫婦か!」


笑いながら中に入ると
露出度の高いワンピースを着たサヤカが
笑顔で出迎えてくれた。

その気合いの入った格好に
無言のプレッシャーを感じて苦笑い。


「いーでしょ?
一回やってみたかったの。
だってリョウちっとも
私にかまってくれないし」

「悪い悪い
バイトとバンドで忙しかったし」


……まぁ嘘は言ってない。


サヤカは近くのお嬢様女子校の三年。
名字は……うん、忘れた。

だってさ、男女の関係に
名字はあんまり関係ないじゃん?


彼女との出会いは
去年の俺の学校の文化祭で
遊びに来てたサヤカに逆ナンされた。

その後約半年ぐらい
こんなテキトーな付き合いを続けてる。


「今日は泊まってく?」


上目使いでじっと俺を見て
腰に手を回してくるサヤカ。

独特の甘い匂いに刺激され
俺は返事のかわりに彼女の身体を引き寄せ
首筋に顔を寄せた――。