「アキなら大丈夫。
あれからまたかなり寝たし
大分顔色もよくなった。
携帯は壊れただけだし。」

「「壊れた!?」」


さりげなく付け加えたのに
やっぱり予想通りの反応。

まさか、余計な事までばれねえよな?


「そう、真っ二つに折れちゃってさ。
ないのも不便だし
新しく、契約しねーと」


平然と告げた俺の言葉に
ケンゴの目が光る。


「へぇ、機種変やなくて
新規で契約するん。
さすがのリョウも
西条くどくとなると必死やね」

「は?そんなんじゃねーし」


少し声が上擦ったかも。
コイツ鋭くてほんと勘弁してくれ。


「どーゆう事?
俺だけおいてけぼり?」

「えーか、カズマ。
俺の予想やと
“俺にはお前だけだ”とか
甘い言葉はいてその証拠の為に
リョウ自らバッキーと折ったとみるな。

関係あった女どものデータ
みんな吹っ飛ぶやろ?

しょせん携帯でしかつながってへん女
山ほどおったみたいやし」

「へーいいなそれ。
すげー効果ありそう。
俺もここぞって時に使おう」


別に口説こうと思った訳じゃねーし。
話の流れでそうなったつーか

――ってやっぱ、口説いたのか?


もういーや
嘘ついてもしかたねーし。


「こえーよケンゴ。
そこまで当たるとカンがいい
とかのレベルじゃねえし」

「えーマジで!?
じゃあもしかして西条とやっちゃった?
学園のアイドル西条アキが
ついにこんな女ったらしの毒牙に?」

「カズマ、お前には言われたくねーよ」

「そんなんどーでもいいから。
だから西条とやったかやってねーか
聞いてんだろ?」

「嘘ついたらしばくで」


大興奮で問い詰めるカズマと
鋭い顔で釘をさしたケンゴ。

俺は軽く苦笑いしつつ


「残念ながらしてねーよ。
……正確には3割ぐらい?」

「何やそんなもんかい」

「えっ!そんな事まで?」

「「「…………」」」