「でもさ、真面目な話
早く何とかしねーと。
西条部活来なくなっちまったし
そのうち学校休む
とかになんねーか心配だし」


俺の言葉に皆も不安げに頷いた。


「せやな。
こんなに西条が拒絶すんのも謎やしな。
前のバンドで何があったか
ちょっと調べてみよか」

「あぁ」


とりあえず話がまとまりそうになった時
カズマが言いにくそうに俺を見た。


「あのさ、
俺らのライブまであと三週間切ったけど
ボーカルどうすんだよ。

西条はまだわかんないし
もし入ったとしても
練習間に合わねーだろ」

「そうだな、そろそろ
色々決めなきゃなんねーしな。
今回が最後になるの願って
誰かに助っ人頼むか」


あらかた飯も食い終わって
茶をすすりながら
頭を悩ませる俺ケンゴカズマ。

そこへ遠慮気味に「あのさ……」っと
話を割り込ませるケイタ。


「どした?ケイタ」

「もしみんながいいなら
俺にやらしてもらえないかな。
実は来月から家の都合で
とうとう助っ人すら出来なくなりそうだし
最後の思い出にさ。

もし西条が参加できるようになったら
何曲かだけでもかまわないし」

「マジで?
ホントにやってくれんの?
俺らの条件かなり勝手だし……」


まさかケイタの方から
そんな事言ってくれるなんて。

驚いたのと嬉しいので
言葉を詰まらせる俺。

するとケイタは嘘のない顔でニッと笑う。


「こっちこそ、だよ。
今までかなり俺の都合いいように
参加させてもらってたから。
準備とか責任とかなく
いいとこ取りみたいなさ。
だから何も気にする事ないよ」

「うれしいな〜リョウ。
実はケイタやってくんないかって
二人で話してたんだよな」

「ホントに?
そゆことは早く言えよ」


冗談っぽくカズマをどつくケイタ。

その正面で暗い表情のケンゴが


「なんやケイタ。
おやじさん、大丈夫なんか?」


ケンゴは俺らよりケイタとつきあい長いし
彼の家の事を色々知ってるみたいだった。