「もうさ、この際
ラブレターでも書けよ、リョウ」

「はぁ!?
何言ってんだよ、カズマ。
んなもん書いた事ねーし」

「でも携帯は着拒。
アドレスは変えられて
全然コンタクト取れないんだろ?

俺達がずっとあいつを探してた事も
何も知らないんだぜ。
このままじゃらちあかねーし」


たしかにこいつの言う事も一利ある。

でも手紙か。
確実に恥ずかしいな。


「じゃあさ
曲を書いて送るってのはどお?」


ニコニコして
何気なくいったケイタの言葉に
思わず顔が上がった。

俺と同時に素早い反応をみせたケンゴは
キラリと黒い瞳を輝かせる。


「おっ、それえーやん。
お前のその思い
曲にして西条に聞かしたれや」


でもさ、作ったところで
聞かせる機会ないんじゃね?

とか思ったけど、
曲作るって話はかなり心動かされた。


実はあの日海で西条見てから
頭の中に音のカケラがかなり浮かんでて
それを曲にしたいって気持ちが
かなりあったから。


「あっ、カズマ見てみーや!
今のリョウかなり作曲モード入ってるで」

「本当だ。
なぁケイタ
こいつ道歩いてるときとかも
頭にメロディー浮かんだりすると
いきなりスイッチ入ったみたいに
意識どっかいっちゃうんだ。

こうなったら最後
話し掛けても反応ねーし
周りはほっとくしかないってわけ」


なぜか偉そうなカズマに
「へぇ」と真面目に感心するケイタ。


「うるせーカズマ。
また、ここに意識あるっつーの。
……片足突っ込んだぐらいだし」

「なんやねん。
やっぱり入ってるやん」


相変わらずな
ケンゴの素早く的確な突っ込みに
皆で笑い合う。