あの海での語らいで決めたのは

さすがに家にまで行ったら痛いから
ゴールデンウイークあけの学校で
西条にバンド参加の再交渉をする事。


早速朝一番に
彼女のクラスに行ったんだけど

西条は俺らの姿を見るや否や
あからさまに近寄るなオーラを出しながら
全力疾走で教室から逃げた。


予測外の西条の行動に驚いて
足が全く動かなかった俺ら。


その後も昼休みと放課後を中心に
彼女を捕まえようとしたんだけど
全て失敗に終わった。


まあそれには
色々と理由があるんだけど……。


って事で交渉作戦を開始して三日目
反省会をするべく俺らは食堂に集合。


「なんか段々自分が
変質者っぽく思えてくんだけど」


さっき俺らにメールで呼び出され
俺の前でカツカレーを頬張りながら
悪態をつくカズマ。


「あぁ、ちょっとわかるかも。
嫌がる女の子を
無理矢理追い回す的な、ね」


西条との事情を知って
色々協力してくれてるケイタが
俺の隣でラーメンをすすりながら苦笑い。


「でも俺甘くみてたわ。
西条女の割に足早ない?
しかもあの蹴りキョーレツすぎやし」


西条にやられたであろうすねを撫でながら
顔をしかめ
俺の斜め前でヤキソバをつっつくケンゴ。


「お前ら俺の気持ちがわかったか!
あん時は魂半分抜けたっーつの!

でもさマジここまで
拒絶されるなんて思わなかった。
あんまりハデなことやって
目立つわけにいかねえから
地味に接触するしか出来ねぇし」


頭を掻きむしりたい気分なのを堪えて
俺は親子丼を口に運ぶ。