「今のところは大丈夫よ。
大抵の女はアンタ達のツーショット見て
怖気づいて諦めるから」

「そっか」


よかった。
冷や汗出たかも。


「でも注意して見てたほうがいいわよ。
バカな女は山ほどいるから」

「わかった。
教えてくれてサンキューな。
マジ助かった。
お前、本当いい女だな」

「そんな心にもない事
言わなくていから。
……食後のコーヒー飲みたいわ」

「おう、買ってくる」


ユリが照れた時にやる髪をいじる癖
まだかわってないなとか思いながら
席を立つ。


相変わらずコイツには頭上がんねーわと
百円玉をポケットから漁りながら
自販機へ向かった。


“砂糖抜きでミルク多め”
あいつの好きなコーヒーの味が
まだ忘れず頭に浮かんできて
何となく苦笑いしながら
自販機のボタンを押した。