二人して机から飛び降りてバカみたいに
目一杯窓の外に身を乗り出す。


正門から一歩一歩、足元を確かめるように
校舎に向かって歩いてきた彼女は、
俺たちの真下に来た時ふと顔を上げた。


大きな瞳が空を仰ぎ
その後――目が合った。

それは薄い灰色で
透き通るように綺麗だった。


人の顔に見とれたのなんか初めての経験だ。
勝手に心臓がドキドキと高ぶる。


お互い固まって5秒程
ただ見つめ合ったまま。

隣のカズマはますます顔を赤くして
うつむいたのが視界に入った。


その後ふわりと微笑んだ彼女は
右手をゆっくりと上げ

“中指”を立てると

そのまま校舎に消えていった。


……は???


「なっ、なんだあれ!?」


呆気にとられる隣の男。


おう。
さすがの俺も反応できない。

何で中指。
初対面なんだけど
アイツ喧嘩売ってんのか?


お互い訳がわからず顔を見合わせて
その後何も言葉が出なかった。


脳天がまるで落雷にあったみたいな衝撃。


それがアイツ

『西条 暁(アキ)』

との出会い。