その後タケは
カズマやケンゴを始めとした部員達に
頭をぐしゃぐしゃにされたり
こずき回されたり熱い抱擁を受けながら
楽しそうに悲鳴をあげてた。

その光景を少し離れた所で見てると
後ろのドアに人影が見えた。


「――やっぱ来たな」

「お見通しな訳?」

「いや嘘。
じつは半々ぐらい」

「ふーん」

「いつから居たんだ?」

「最初から」

「ヘェ」


この前も思ったけど
西条との会話はやけにスムーズに進むから
ぶっちゃけかなり話しやすい。

波長が合うってこういう事なんだろうか?


「あんたが屋上で言ってた事
凄くわかった気がする」

「そっか」

「とりあえず
アンタには負けないから」

「は?何が?」

「イロイロと」

「訳、わかんね」


その後意味ありげにほほえんだ西条。
俺を見る目は相変わらず鋭い。


「とりあえず、入れよ」

「……うん」


と彼女をうながすも
部室内で騒いでる男の集団を見て
躊躇するような表情をしてて。


「お前、ホント男苦手な」


笑いを噛み殺して言うと
カッと赤くなって焦った様子。


「……っな!!」

「何故か俺、お前の考えてること
すぐわかっちまう
特殊機能が備わってるみたい」

「何それ?」

「まあ、いーじゃん。
俺に任せろ。
じゃあ手始めにお前、ラーメン好き?」


意味不明であろう質問に
“?”を沢山浮かべながら
西条が頷くのを見て
俺は彼女の腕を引き
ゆっくりと部室の中に入っていった。