「おい、矢橋!!来るのが遅い!!」
はっ?矢橋?まさか、あの女ったらしの?
矢橋クンは、あたし達の学年で[女ったらし]と言われてて、けっこう目立ってる。あたしの友達にも、口説かれた子も何人かいる。

ドアの方を向くと、確かにその矢橋がだるそうに立っていた。でも、首には、ごっついネックレスをしていて、髪はツンツンに立てて、服もばっちら決まっていた。

「髪立てるのに時間かかりました〜」
馬鹿かコイツ。ナルシーにもほどがある。

「愛梨の隣、矢橋クンだったんだ。愛梨気をつけなよ?」
優衣が小さな声で話しかけてくる。
「わかってるって。」
あたしは、笑って返事をする。

そして矢橋クンは、先生と少し口論した後、あたしの隣の席に座った。