中学2年━━


「この問題は、、、、」
メガネをかけた、いかにも生真面目そうな男の先生が、呪文みたいな言葉を唱えている。


はっ?そんなん分かるわけないし。はぁ、せっかくの夏休みなのに。あたし、何してんだろ?
あたし━吉川愛梨は、今エアコンがバンバンかかった塾で、数学の授業を受けている真っ最中。



「ねぇ、愛梨。やっと今日で数学終わりだよー。まっ、明日からは、社会の授業あるけどさ〜。」
後ろから話しかけてくるのは、━親友の優衣。

優衣とは、中学1年から、仲よし。優衣の第一印象は、誰にでも話かける、人なつっこい子だった。そんな優衣に声をかけられて、よく話すようになったのがきっかけで仲よくなった。

「そうだよ。あたし、これ以上、数学の授業受けても、余計ばかになりそうだし。」
「愛梨うけるし〜。」
馬鹿は大変だなーって、2人で笑った。


ちなみに、今日受けている数学と、明日から始まる社会の授業は、学校の定期テストで、あまりにも点数が悪かった人が塾から強制的に受けさせられる授業。要するに、馬鹿な子達が集まる勉強会なのだ。

あたしと優衣も、定期テストが終わってすぐに、呼ばれていた。