cross out

結局、一日中暁のことを考えてたら、今日は全然仕事にならなかった。



あと5分。



あと3分。



あと1分。



『お疲れさまでしたぁ。お先に失礼しまぁ~す。』



暁、暁、暁。



急いで会社を出たら、見慣れた車が停まっているのが見えた。


暁、もう来てくれてる。



あたしは自然と急ぎ足。



『紗耶、お疲れさま。』



『暁、定時にあがれたんだね!』



『うん、紗耶の為に頑張った!』



そう言うと暁は人懐っこい笑顔を見せた。



暁は3つ年上だけど、こういう時、仔犬みたいですっごくカワイイ。



『ねぇ暁、新しく出来たイタリアンってどこ?』