ラブ・スーパーノヴァ

「小山田さん・・・薫には絶対言いません。僕にだけ、本当の気持ち聞かせてくれませんか。」

倫は樫野の目を見た。

彼の目に嘘はなかった。

きっと本当に薫には言うつもりはないのだろう。

きっと、自分が前に進むために、倫の気持ちが知りたいのだと倫は思った。

倫は頷いた。

「私・・・九条薫が好き。きっと、あなたに負けないと思う。」

樫野は優しく微笑んだ。彼の優しい表情を初めて見た気がした。

倫は叶わない恋だとは言わなかったが、樫野にはわかっているようだった。

それ以上は何も言わず、二人で黙って研修所に戻った。

ゴールした学生たちがたむろしていたが、そこに薫の姿は無かった。

相原は特別ご機嫌だった。もしかしたら、手ごたえがあったのかもしれない。

嵐山の解散の合図で各自部屋に戻った。

朝早かったためか、皆夜更かしすることもなく素直に眠りについているようだった。

倫は実験機材の持ち帰りのチェックをしていた。大学の高価な機材なので、一つでも部品が無くなったら一大事だ。

「あれ?これ、レンズキャップが無い・・・。」

物理学科から借りた望遠鏡のレンズキャップが無かった。

自分たちの機材ではないだけに、これはマズイと、急いで天体観測をやった場所に探しに行った。

月明かりで明るかったが、さすがに探し物をするには暗すぎた。

倫は懐中電灯で地面をくまなく探った。
大きいが、色が黒いのでなかなか見つからない。

「何か探してるの?」

暗闇の中から突然声がして、倫はビクッと体を震わせて驚き、懐中電灯を落とした。

慌てて拾おうとしたが、声の主に先に拾われてしまった。

「ごめん、驚かせたね。」

そこには懐中電灯を拾い、手にした薫が立っていた。