ラブ・スーパーノヴァ

少しずつ時間をずらし、研修所を一周するコースを次々にスタートしていった。

倫は自分の番が近づくと、おずおずと樫野に近づき、手を差し伸べた。

樫野は倫を一瞥するとそっと手を繋いだ。

恐ろしく冷たい手の感触に、倫はどきりとした。

樫野は全く話さなかった。倫もな話しかけずらく、無言のまましばらく歩いた。最初に口を開いたのは樫野だった。

「あなたは・・・薫とどういう関係なんですか?」

倫はなんとなく予想通りの質問がきたなと思った。

「どういうって・・・たまたまバイト先で知り合って・・・

その時落としたレポートを大学まで届けてくれて・・・

それで知り合ったような’関係’ですけど・・・。」

倫は昼間の高校生二人が言っていた’噂’を思い出していた。

樫野はしばらく遠くを見つめるような目をして、それから再び口を開いた。

「薫の好きな人って・・・あなたなんですね。」
倫はどきりとして立ち止まった。

「あの、どうしてそんなこと・・・」

樫野は身長差ゆえ、倫を見下ろした。

「あいつが・・・あのポーカーフェイスの薫が、様子がおかしくて、しつこく聞いたら好きな人がいるなんて言うからどんな人かと思ったけど・・・」

けど?倫はその後に続く言葉を待ったが、樫野はその代わりに倫に問いかけた。

「薫を振ったんですか?あいつの・・・何がだめだって言うんです?」

倫は樫野の真剣な眼差しにドキリとした。

(この子・・・)

「あいつ、ここ1ヶ月くらい、変なんです。」
「変・・・?」
「きっと、それは僕にしかわからない変化だけど、1人の時、すごく悲しそうっていうか・・・泣きそうっていうか・・・」

倫は確信した。

この少年は、薫が好きなのだ。

「あなた・・・九条薫のことが好きなのね?」