ラブ・スーパーノヴァ

夜になり、天体観測が始まると、薫の知識の深さに皆が感嘆の声を上げた。

倫たちのグループは生物系だったので、天文学については全く疎かったから、薫の解説がなければ望遠鏡を覗くだけで終わっていたかもしれない。

「うわー、これが木星かー」

この時期、木星は明るく綺麗に見られる。

倫は自分も見たくてうずうずしていたが、人が多くて輪の中に入れないでいた。

もじもじしている倫を嵐山が見かねて前に押し出した。

「九条君、こいつにも見せてやってくれ」

倫はぐいぐいと押されるがままに望遠鏡に近づいた。
望遠鏡の一番近くに薫がいた。

倫と目が合うと、黒い瞳でじっと見つめて優しく言った。

「どうぞ」

倫は失礼します・・・、と言って遠慮がちに望遠鏡を覗いた。

明るい光の側にいくつかの小さい光が見えた。

「・・・あ!・・・ガリレオ衛星も見える!」

倫は思わず声を出した。木星の四大衛星であるガリレオ衛星も綺麗に見えていた。

「綺麗だろ?」
「うん!・・・すごく綺麗・・・。」

倫はすっかり見入ってしまい、薫が耳元に顔を近づけていることに気がつかなかった。

「名前知ってる?」
「もちろん!イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト・・・小さくて可愛いなぁ。」

倫は迷うことなく諳んじた。

「さすがだね。」

薫が優しく囁いた。
甘い香りがかすかに漂ってきた。

倫はハッとして望遠鏡から離れた。

薫が倫を見つめる。

倫はまわりの目を気にして自然に自然にと意識したが、すればするほどぎこちなくなった。