ラブ・スーパーノヴァ

「小山田さん、もうすぐ合宿ね。準備進んでる?」

参加者の1人、大学院生の女の先輩である由香が倫に声をかけた。

「はあ・・・なんとか・・・。」

合宿を週末に控え、倫はすっかり疲れきっていた。

「ねえ、もちろん、今年も’アレ’やるのよね!?」

倫は’アレ’と言われ、何のことなのかまったくピンとこなかった。

「アレ・・・って何ですか?」
「天体観測の後の肝試しよ。恒例じゃん。」

先生達を抜いて、生徒たちだけで行う’裏企画’である肝試しのことを言っているのだった。

肝試しと言っても研修所をぐるりと一周まわるだけで、お化けなどを用意するような本格的なものではなかった。
ただの夜の散歩である。

教授達も知っているが、黙認しているとのことだった。

「むふふ・・・。高校生と手つなげるのなんて、普段じゃありえないもんね。」

その肝試しは、ランダムに組み合わされるのだが、どんな組み合わせでも、たとえば男同士、女同士でも手をつなぐのがルールだった。

研究室随一の「巨乳」の由香は、男好きで有名だった。

(そういえばそんなのあったっけ・・・)

倫は準備で忙しくそんなことを考えている余裕などなかった。

「忘れてました。何か用意するものありますっけ?」
「んー、クジくらいじゃない?」

(クジか・・・。はあ、また仕事が増えた・・・。)

「ねえ、私、九条薫君とペアになるようにしてくれない!?」

由香は目をきらきらさせて倫に頼んだ。
倫は予想外の申し出に面食らった。

「はあ・・・。九条・・・君とですか。」

「私、ずっと会ってみたかったのよねえ!高校生であの容姿はないと思わない!?おまけにすごい頭もいいし、お坊ちゃんだし。

これを機会にお近づきになりたいのよねえ~。」