「ち、違う違う。そんなんじゃないのよ。本当に。」
少年は倫から目を離さなかった。
「お待たせしました。」
その時1人の男性が倫たちのところに小走りでやってきた。
「九条の担任の相原です。」
思ったより若い。人のよさそうな雰囲気だった。
「相原先生、薫は?」
少年が相原に尋ねる。相原はおお、樫野と少年の名前を呼んだ。
「それがなあ、探してるんだがいないんだよ。
樫野知ってるか?」
「もしかしたら図書室かも。僕、探して連れていきますよ。」
少年は静かに答えた。薫同様、雰囲気は大人っぽいが、薫より暗い感じがする。
「そうか。じゃあ、2階の会議室に連れてきてくれ。」
そう言うと、相原は倫と嵐山を2階へ導いた。
会議室に入ると、嵐山はすぐに話を切り出した。
「今年の交流合宿にぜひ、こちらの高校生たちに参加していただきたいのですが・・・。」
相原は、そういうことですか、と頷いた。
「そうですねえ・・・。僕としてはそういうの好きなんですけどね。生徒達が忙しくてねえ・・・。
ここはエスカレーター式だけど、外部の高レベルな大学受ける生徒も多いから。’上の人’達も何て言うか・・・。」
倫と嵐山はやっぱり・・・と顔を見合わせた。
倫たちの大学に来るような生徒はいないだろう。「交流」するだけ無駄ということだ。
その時扉がノックされた。
「相原先生、九条です」
倫は無意識に体を硬くした。
心臓が早く打ちすぎて苦しい。
「おお、入りなさい」
相原の言葉を待たずして扉が開かれた。
薫と先ほどの樫野という少年が入ってきた。
倫は顔があげられず、うつむき、膝の上のこぶしを見つめた。
(ああ・・・なんで私、こんなとこに来ちゃったんだろ・・・)
少年は倫から目を離さなかった。
「お待たせしました。」
その時1人の男性が倫たちのところに小走りでやってきた。
「九条の担任の相原です。」
思ったより若い。人のよさそうな雰囲気だった。
「相原先生、薫は?」
少年が相原に尋ねる。相原はおお、樫野と少年の名前を呼んだ。
「それがなあ、探してるんだがいないんだよ。
樫野知ってるか?」
「もしかしたら図書室かも。僕、探して連れていきますよ。」
少年は静かに答えた。薫同様、雰囲気は大人っぽいが、薫より暗い感じがする。
「そうか。じゃあ、2階の会議室に連れてきてくれ。」
そう言うと、相原は倫と嵐山を2階へ導いた。
会議室に入ると、嵐山はすぐに話を切り出した。
「今年の交流合宿にぜひ、こちらの高校生たちに参加していただきたいのですが・・・。」
相原は、そういうことですか、と頷いた。
「そうですねえ・・・。僕としてはそういうの好きなんですけどね。生徒達が忙しくてねえ・・・。
ここはエスカレーター式だけど、外部の高レベルな大学受ける生徒も多いから。’上の人’達も何て言うか・・・。」
倫と嵐山はやっぱり・・・と顔を見合わせた。
倫たちの大学に来るような生徒はいないだろう。「交流」するだけ無駄ということだ。
その時扉がノックされた。
「相原先生、九条です」
倫は無意識に体を硬くした。
心臓が早く打ちすぎて苦しい。
「おお、入りなさい」
相原の言葉を待たずして扉が開かれた。
薫と先ほどの樫野という少年が入ってきた。
倫は顔があげられず、うつむき、膝の上のこぶしを見つめた。
(ああ・・・なんで私、こんなとこに来ちゃったんだろ・・・)

