ラブ・スーパーノヴァ

「そりゃあ、知ってるよなあ。私たちはね、つい最近知ったんだよ。

全く、この歳になって妹がいると知るなんて、人生何が起こるかわかったもんじゃないな。」

倫は手を強く握り締めた。手の平がとたんに汗ばむ。

「・・・君が薫に連れられてこの家に来た時に、君の苗字を聞いてまさかと思ったんだが・・・。私は昔、父の会社で働いていてね。君の母君も良く知っているのだよ。」

薫の伯父も立ち上がって倫に近づいて言った。
倫は顔を上げることができず、立ち尽くした。

(やめて・・・)

「まったく、父さんもいい歳してなんてことしてくれたんだろうなあ。60過ぎて子供作るなんて、本当、呆れるね。」

薫の父が馬鹿にしたように言った。

(やめてよ・・・)

「お義兄さん、早くお渡しして帰っていただいたらいかが?」

薫の母が辛らつに言い放った。

薫の伯父は少し躊躇ったが、スーツの内ポケットから封筒を取り出して倫に渡そうと差し出した。

「これは・・・父の代わりと言ってはなんだが・・・受け取ってほしい。」

倫は震える手で封筒を受け取り、中身を見た。小切手だった。

「足りなかったら、君の望む金額を言ってくれていいんだよ。」

「ちょっと兄さん、それで十分だろ。父さんの子だって確証はまだないんだ。兄さんの『推測』にそれ以上出す必要なんかない。」

薫の父が慌てて言った。

「あら、あとから裁判なんかやられるよりは、今のうちにお出しして、さっさと終わらせた方がよろしいんじゃございません?」

薫の母も立ち上がり、倫を見据えて言った。

「薫さんにも、余計なことをされちゃ、困りますから。多めに差し上げたら?」

倫は怒りと悲しみで震えた。