ラブ・スーパーノヴァ

倫の意思は全く無視され、車が九条低に滑り込む。

男は再び倫を担ぎ上げ、母屋ではない、もう一つの家の方に連れていかれた。

「失礼致します。小山田様をお連れ致しました。」

男がドアにむかって声をかける。
倫は観念し、脱力したまま男に担がれていた。

「入りなさい。」

中から声がする。聞いたことのない声だった。

中に入ると、倫は床に降り、部屋を見渡した。

そこには薫の伯父と母ともう1人の男性がおのおのソファに座ってこちらを向いていた。

「無理やり連れてきてしまってすまなかったね。座りなさい。」

薫の伯父が一番出口側の椅子に座るよう倫に言った。
倫は何も言わず、動かず黙っていた。

「へえ~この子がねえ。そう言われれば、あっちの血が混ざっている顔してるなあ。」

もう1人の男が好奇心の眼差しで倫を見つめた。

「あなた、おやめなさい。みっともないですわよ。」

薫の母が言う。あなた、と呼んでいるということは、この男は薫の父親らしかった。

背が高く、眼鏡をかけた一重の目には優しさなどまるで帯びてはいなかった。

薫の母を無視し、薫の父は倫に近寄って顔をじろじろ見た。

「君は知ってるんだよね?私たちの『妹』だってこと。」

倫は全身を硬くした。

この人達・・・なんで知ってるの!?