ラブ・スーパーノヴァ

「九条の人間は本当に’目的のためなら手段を選ばない’人間なんだ。俺がいない間に君に何するかわからない。それが心配なんだ」
「そんな・・・。私に何をするっていうのよ・・・」
「伯父や俺の両親にしてみたら、君は表に出てきて欲しくない人なんだ。そんな君を俺が好きだと知ったら、どんな手段を使ってでも俺達を引き裂こうとするに決まってる」

九条の人間が倫に何かするのではないか・・・。薫はそれを一番気にしていたのだ。九条の家の者たちから倫を守るために、離れるわけにはいかないと考えているのである。

「私は何されたって平気よ。あなたが思ってるほど根性無しじゃないわ」

倫はそれでも薫が自分の将来を曲げようとしていることに賛成できなかった。
薫が優しく微笑む。

「倫ちゃんはどうしても俺をアメリカに行かせたいみたいだね。俺と離れるの寂しくない?」
「そりゃぁ・・・。寂しいけど・・・」
「’けど’・・・は余計だね」

薫が倫の顔を覗き込む。
倫は照れて視線を逸らした。

(そんなの・・・寂しいに決まってるじゃない・・・)

倫は薫とこうして一緒にいられることがこんなにも嬉しく、幸せを感じられるものかと痛感していた。

いつも、そしていつまでも一緒にいたい・・・。

心の奥から薫への想いが沸々と湧き出し、自分でも怖いくらいどんどん大きくなっていくのである。
それでも薫の可能性を自分が潰してしまうことに対して、これでいいはずがないという気持ちが消えることはない。