ラブ・スーパーノヴァ

「どう?気に入ったものは見つかった?」

机にトレーをのせて言った。
倫は目を輝かせた。

「見つかったなんてものじゃないわ・・・。全部読みたいくらい。」

倫はほぅとため息をついた。

「いつでも読みにきていいよ。何冊か持って帰ったらいい。」

ありがとう、と言って倫は床に座り、紅茶を受け取った。

「ねえ・・・あんたの家って、財閥かなんか?ものすごくお金持ちよね?」

倫は何気なく聞いたのだが、薫は若干表情を曇らせた。

「別に・・・そんなんじゃないよ。古くからある家ってだけさ。」

倫はふーんと言って、紅茶を飲んだ。とてもおいしい。きっと高級なのだろう。

人の声がかすかに聞こえる。薫が言うように、様々な人が行き交っているようだった。

「私んちなんて、この部屋ぐらいの大きさの部屋が3つあるだけよ。まあ、二人だけだから、べつに狭くもないんだけど」
「二人?誰と暮らしてるの?」

薫は椅子に腰掛けて長い足を組んだ。細身のパンツに紺のニットを羽織っている。私服に着替えるともう高校生には見えない。

「おばあちゃんと。私はキヨちゃんって呼んでるんだけど。父も母もいないの。」
「ご両親は亡くなったの?」
「母は私が3歳の時に病気で死んで、父親は誰だかも知らない。キヨちゃんは教えてくれないし、私も特に知りたいと思わないから聞かないし。キヨちゃんがいれば私はいいの。」

倫は正直に話した。すっかり薫に心を許していることに本人も気がついていない。

「お祖母さんのことが大好きなんだね。いいね、二人暮し。楽しそうだな。」

薫はうらやましそうに言った。

「楽しいよ。でも、あなただって、たくさんの人に囲まれてていいじゃない。ご飯も大勢の方が楽しいじゃない?」

薫は苦笑した。

「食事なんて1人でしかしないよ。うちはみんな忙しいから、それぞれ別で食べるんだ。」