「気に入った本があったら持っていっていいよ。」
なぜか倫を家に誘う薫に、倫は心を許し始めていた。
(お金持ちの家の人が、犯罪をおかしたりしないよね・・・。いや、するかな。
でも、本は魅力的だし、この子の知識も魅力的だ・・・)
倫は葛藤した。その様子を薫は焦らせることもなく静かに見守った。
「わかった・・・じゃあ、行こうかな。でも、昨日みたいなことしないって約束して。」
それまで平静を装っていた薫の表情がぱあっと明るくなった。
「しないよ!じゃあ、行こう!」
どうぞ、といって紳士的に車のドアをあけ、倫の腰に軽く手を添えて乗車を促す。
自然な動作が、薫がレディファーストを叩き込まれていることを表している。
倫は初めての体験にどぎまぎした。車にのることにこんなに緊張したことはない。
そんな倫をよそに、薫は嬉しそうに倫を眺めた。
「なによ」
倫はじろりと睨んだ。緊張しているのがばれてるのかな。
「ううん、倫ちゃんともう一度会えて嬉しいんだ」
倫は眉をひそめた。
「あんた馬鹿じゃないの?平手打ちくらった女に会えて嬉しいなんて・・・。」
薫が笑う。
「はは!そうだね、確かにその通り。あれは効いたなぁ。倫ちゃん、可愛い顔して豪腕なんだもん。」
「あのねえ、そもそも私の方が年上なんだから、’倫ちゃん’はないでしょ。」
薫はくすりと笑って、色気のある瞳を輝かせた。
倫は不覚にもドキッとした。
「へえ・・・。そういうことは気にするんだ。じゃあ、なんて呼んだらいい?倫さん?
小山田さん?・・・それとも、倫?」
倫の目をまっすぐ見て薫が名前を呼ぶ。
倫は目を合わせていられなくなり、窓の外に視線を逃がした。
「倫ちゃんでいいわよ!」
薫がくくく・・・と笑いをかみ殺している。からかっているのだ。
本当にこいつは17歳なのか!?
倫は後ほどこの言葉を何百回と心の中で叫ぶことになる。
なぜか倫を家に誘う薫に、倫は心を許し始めていた。
(お金持ちの家の人が、犯罪をおかしたりしないよね・・・。いや、するかな。
でも、本は魅力的だし、この子の知識も魅力的だ・・・)
倫は葛藤した。その様子を薫は焦らせることもなく静かに見守った。
「わかった・・・じゃあ、行こうかな。でも、昨日みたいなことしないって約束して。」
それまで平静を装っていた薫の表情がぱあっと明るくなった。
「しないよ!じゃあ、行こう!」
どうぞ、といって紳士的に車のドアをあけ、倫の腰に軽く手を添えて乗車を促す。
自然な動作が、薫がレディファーストを叩き込まれていることを表している。
倫は初めての体験にどぎまぎした。車にのることにこんなに緊張したことはない。
そんな倫をよそに、薫は嬉しそうに倫を眺めた。
「なによ」
倫はじろりと睨んだ。緊張しているのがばれてるのかな。
「ううん、倫ちゃんともう一度会えて嬉しいんだ」
倫は眉をひそめた。
「あんた馬鹿じゃないの?平手打ちくらった女に会えて嬉しいなんて・・・。」
薫が笑う。
「はは!そうだね、確かにその通り。あれは効いたなぁ。倫ちゃん、可愛い顔して豪腕なんだもん。」
「あのねえ、そもそも私の方が年上なんだから、’倫ちゃん’はないでしょ。」
薫はくすりと笑って、色気のある瞳を輝かせた。
倫は不覚にもドキッとした。
「へえ・・・。そういうことは気にするんだ。じゃあ、なんて呼んだらいい?倫さん?
小山田さん?・・・それとも、倫?」
倫の目をまっすぐ見て薫が名前を呼ぶ。
倫は目を合わせていられなくなり、窓の外に視線を逃がした。
「倫ちゃんでいいわよ!」
薫がくくく・・・と笑いをかみ殺している。からかっているのだ。
本当にこいつは17歳なのか!?
倫は後ほどこの言葉を何百回と心の中で叫ぶことになる。

