屈託のない笑顔に倫はドキドキし、家に上げたりして、自分の心臓の方がもたないんじゃないかなと思った。

薫がシャワーを浴びている間に倫は薫のジーパンとシャツをドライヤーで丁寧に乾かし始めた。乾燥機などないので、地道に乾かすしかない。

「・・・・あ、とりあえずの着替え・・・どうしよう・・・」

倫の家には男物の服というのがない。倫のジャージはさすがに薫には小さいだろう。
倫は浴衣を見つけ、とりあえずこれなら着れるだろうと思い、脱衣所に向かった。

「あの、着替えがないからとりあえず私の浴衣着てくれる?」

風呂場の薫に声をかける。

「ありがとう」

シャワーの音に混ざって薫の声が響く。
扉の向こう側に薫が裸でいるのかと思うと見てもいないのにドギマギし、新しいタオルと浴衣を籠の中に入れて慌てて脱衣所を出た。

服を乾かしていても薫のことが気になって仕方がない。この家に薫がいるのかと思うと、まるで自分のいつもいる空間じゃなくなったみたいな気がした。

しかし、薫が握っていた写真が目に入ると倫は急に現実に引き戻されてた。

(・・・思いが通じたところで・・・どうにかなる問題じゃなかったんだった・・・)