(こう考えることが適当である理由は、生産性と(交換)価値との関係がこれで説明できるからである。)

社会の全域で、おのおの、1日で1作られていた商品体の価値を1とするとき、
ほぼ全域で、1日2作られるようになった商品体の価値は、1/2と変化する。
このとき、わずかに残った「1日に1作っている」商品体は、こちらの価値も、1/2に引き下げられる。
(これは社会平均化の例である。)

社会の全域で、1年で1作られたときの商品体の価値を1とするとき、
環境要因のために、全域で1年で1/2しか作られなかった年においては、その商品体の価値は2に変わる。
逆に、1年で2作られた年には、その商品体の価値は1/2となる。
(これは、人間労働量と(交換)価値との比例関係を示す例である。)

社会の全域で、100日で1取れる商品体の価値が1のとき、
100日で10取れる商品体の価値は1/10となっている。
(これもまた、人間労働量と(交換)価値との比例関係を示す例である。)

以上より、生産性の高い商品体のほうが、商品体単位量あたりでの人間労働量は小さくなるため、(交換)価値は低くなる。

さいごに、商品体の定義から除外される要因をみることから、商品体をあらためて定義する。
(1)被労働性を持たないものは、商品体ではない。
(2)自家消費されるものは、商品体ではない。
(3)貢物は、商品体ではない。
(4)使用価値を持たないものは、商品体ではない。
以上より、商品体とは、使用価値があり、被労働生産性を持ち、交換対象化されたものである。


(*) 推移律とは、以下のような規則のことである。
「A=B, B=Cのとき、A=Cがなりたつ」
推移律は、必ずしもいつでも正しいわけではない。推移律が成立しない事象はある。
太郎と次郎が友達で、次郎と三郎が友達でも、太郎と三郎が友達とは限らない。