学園(序)

感謝の気持ちを込めながら歌う。

気付けば終わっていた。

「わあ」

龍先輩が感嘆の一言を上げる。

「あははは!気持ちを込めるのは上手いね!」

笹原先輩は絶妙なコメントで褒めてくれている。

歌が上手いかどうかは言ってないんだからな。

さっきから一言も喋らない吟ネエからは何の言葉もない。

ただ、コーラを飲んでいるだけである。

俺と吟ネエとが目があった。

「お酒がないから、拗ねてるとか?」

「私を誰だと思っているアル?」

素早い手捌きで入力検索を行っている。

「だって、部屋に来てから声を聞かないからさ」

「集中しないと歌えないタイプアル」

精神集中を行うって、人の歌を全く聞いていないんじゃないか。

吟ネエらしいんだけどな。

吟ネエが入れた曲は、笹原先輩と同じような最近の曲だ。

最近の曲なんだけど、ゲームのエンディング曲なのだ。

歌は有名な人が歌っているので、知っているかもっていう程度。

吟ネエマニアの俺は知っているけどな。

タイトルは『断罪の白』だ。

ゲームの内容はとっても暗いんだよ。

やってる人を鬱にさせるというか、普通の人ならやろうとは思わない。

もちろん、歌も暗いんだけどな。

歌が始まると、暗い曲調が続くのだが途中で激しくなる。

吟ネエは淡々と歌をこなしていく。

歌は上手い。

上手いんだけど、歌詞を読んでいるだけにしか思えなかった。