学園(序)

でも、少しだけ気分が軽くなったような気がする。

これぞ、相乗効果なのだろうか。

「先輩は好きな人とかいるんですか?」

「えー!?何々?丞君って、あの二人のこと好きなの!?」

「今は先輩の話をしてるんですよ」

「えー!つまんなーい!」

「じゃあ、言わなくていいです」

「えー!それもつまんなーい!」

この人、どうすればいいんだろう。

「しょげないしょげない!」

肩を叩いて元気を出さそうとするのだが、犯人はオノレなんですよ。

「とりあえず、いないってことですね」

「勝手に物事を決めちゃ駄目だよ!」

あんたの言える台詞じゃねえよ。

「じゃあ、いるんですか?」

「うん」

「誰です?」

散々おちょくられているので、正直なところ、どうでもいい情報だ。

「丞君」

俺を指差して、頬を赤らめている。

「は?」

笹原先輩の台詞によって、後ろを向いた前の二人。

「そうじゃったのか?」

「女狐アル!」

「丞はそなたのではない」

何だか、モテモテだな。

しかし、いきなり笑った顔になり、俺に向いている指が震えていた。

「あはははは!やっぱりむっつりー!」

「え?」

「あはははは!変な顔ー!冗談だよ!冗談!驚いた!?」

「洒落になってませんって」

今のは今までの中で一番、性質の悪い冗談である。

「晶、ちょっと来るのじゃ」

「女狐、骨までしゃぶりつくしてやるアル」

二人の女性の後ろには般若が見えたような気がした。