学園(序)

俺達は高井夫妻と別れて、『ビッグMAMA』から撤退する。

高井教師が別れ際に気になる事を言っていた。

「お前、気が多いのもいいけど、大概にしないと何もなくなるぜ?」

見破られていたというのか。

むしろ、俺が解り易いのか?

でも、両方気になるんだから、仕方ないじゃないか。

子供のわがままだってわかってるけど、今の状態では踏ん切りがつかない。

高井教師のいう事は分かてるんだ。

今歩いている目の前のどちらかを選ばなければならない時が来るのかな?

「あはははー!丞君、くらーい!」

今の隊列は吟ネエと龍先輩、俺と笹原先輩、乾は変わらずだ。

吟ネエが笹原先輩をスルーしたくなるのも分かる気がする。 

24時間、底抜けの明るさが傍にいられると考え事も出来ない。

ポジティブで盛り上げ役にはいいのだけど、静かにして欲しい時もある。

でも、俺は吟ネエみたいに無視することが出来なかった。

考え事を中断して、笹原先輩の相手をする。

「考え事してたんですよ」

「丞君も男の子だったんだ!」

「は?」

「むっつりな丞君は暗い顔してエッチなこと考えたんでしょ?」

この人は突拍子もないことを平気で言う。

「えーっと、暗い顔とエッチとどう繋がるんですか?」

「だってさー、前の二人を見つめてたじゃん!二人の裸でも想像してたんじゃないかって思ったんだ!」

そんな事を大声で言うな。

前の二人に聞こえたら大変な目にあうんだよ。

しかし、二人は何かを話しているようで、こちらには気付いていない。

裸といわれても、吟ネエは何度も見てるから深く想像しなくてもいいとして、龍先輩はまだ見てないし、想像が広がるな。

「は!」

俺は何を考えてるんだ。

笹原先輩が余計な事を言うから、考えが変な方向にいってしまったではないか。