学園(序)

食べている時に失礼な事はないのだが、おかわりしすぎだろう。

笹原先輩は一杯で十分らしく、別腹でデザートの超巨大デストロイパフェを頼んでいたけども、吟ネエはイカランチを三杯おかわりしていた。

値段はそこまで高くないのだが、二人とも腹を壊さないのだろうか。

ちなみに、デストロイパフェとはその名の如く、見た者に胸焼けを起こさせるほどアイス、生クリーム、フルーツを溢れるぐらいカップに入れている食べ物である。

俺といえば、鮭定食との闘いを繰り広げていた。

闘いといっても、後は味噌汁を飲み干せば終わってしまうんだがな。

当然、腹もそこまで満たされていない。

何故か、鮭定食の量は異常に少なかった。

メニューの図には、もっと盛り付けてあるような気がしたんだけどな。

俺に対するイジメだろうか?

元より、メニューの図なんか信じた俺が馬鹿だったんだ。

あんなに綺麗に盛られているなんて、時間とお金を使っているから出来る事。

実際は待たせる時間を作ってはならないので、多少は劣るんだ。

働いてる人が手を抜いていると言っているわけではないのであしからず。

味噌汁を飲み干すと、悲しい気分になった。

本来ならばもっと金があって、イカランチ3杯は食えてたはずなんだ。

今更言っても覆水盆に返らず、女々しいことを思うのはやめよう。

食えなかったわけじゃないからいいじゃないか。

隣を見ると、天使の微笑みでおいしそうに食べる龍先輩がいる。

先輩の口の中でクラッシュされて、イクラも幸せだろう。

「そなた、欲しいのかえ?」

「え?」

イクラの気持ちになっていると、先輩が丼を差し出してきた。

「おいしそうに見えますけど」

「なら、食べるが良い」

「先輩のですし」

「良い、もう一つ頼むのももったいない話じゃ」

先輩の優しさは、天より高く、マグマよりも熱い。

まさに、宇宙で空気を与えられたような感じだ。

素敵な施しを与えてくれるなら、お酒に払ったお金も無駄ではなかった。