学園(序)

「次の季節は夏だしなあ」

見せるための物だとすれば、吟ネエにはリストバンドがいいかもしれない。

『暴力』と言う名の運動をするだろうしな。

汗をかかないといっても、夏はそうもいかない。

リストバンドとは汗のために用意された物だし、安いし丁度いいだろう。

後は龍先輩だけだが、いい物があるかな。

先輩、髪留めを集めてそうだよな。

たまに違った髪留めつけてるしな。

収集している物を送るのもいいけど、面白みに欠けるな。

面白みといっても、ゲラゲラ笑うような物は失格ですよね。

先輩の掌底で吹っ飛ばされたりしたら敵わん。

ここは意外性を狙ってチョーカーなんてどうだろう。

外国語でチョーカーといっても、本質的に見ると細い首輪なんだけどね。

並んでるチョーカーの値段を見ると、春なのに汗が溢れてくる。

1万やら、3万やらと高いぞ。

やっぱり本物は違うね。

でも、ピンからキリで安物もあるようだ。

安物といったら悪いんだけど、俺にはそれくらいしか買えそうにない。

「よし」

リストバンドとチョーカーをレジへと持っていって、購入する。

後はファミレスに行くだけだ。

「おい」

ファミレスへ行く途中、乾が声をかけてきた。

「何だよ?」

まだファミレスに行ってなかったのか。

俺とは関係性がないと言いつつも話しかけてくるとは、何か大切な用事でもあるのだろうか?

「中途半端な気持ちで龍の一家に近づくと死を見ることになる」

「は?」

こいつはいきなり何を言うんだ。