学園(序)

先輩や吟ネエのメイド服姿を想像しながら、歩き続けた。

しばらくすると、駅前に辿り着く。

イカランチは隣の皐月鳴に存在する。

俺達は切符を買おうとしたが、龍先輩一人だけボタンが届かない事態が発生する。

「むー、小癪な」

手伝いに行こうかと思ったが、素晴らしい跳躍力を見せて事無きを得た。

改札口を通り過ぎると、丁度電車が来たので乗り込んだ。

電車内では静かにしていたが、乾の殺気によって周囲に人はいなかった。

数分も立たない内に皐月鳴に到着して、改札口を出る。

休日の駅前なので、カップルやファミリーがいて賑やかだ。

時間は朝10時。

隣町に来たのはいいけど、どうしようか。

「そこらへんでもぶらつきましょうか」

「そうじゃな」

「イケチンウォッチングは忘れないアルよ」

出来れば、皆のほうに目を向けて欲しいんだけどな。

っていうか、イケチンって何だよ?

透視して服の下でも覗くつもりか?

吟ネエを現実の世界に引き戻しながらも再び歩きだして、道端にある店などを見て回った。

最初に辿り着いたのは服の店『クロノス』だった。

通り過ぎようとしたのだが、笹原先輩が入ってしまった。

笹原先輩は服にはお金をかけるほうなので、気になったのかもしれない。

吟ネエも行きたい場所があるし、笹原先輩の言う事を聞いても罰は当たらない。

当然、笹原先輩は試着をしていたが、龍先輩にも試着をさせたり遊んでいた。

センスは悪くないので、龍先輩が何を着ても可愛く見えて仕方がなかった。

吟ネエを見ると過激な下着ばかりを手にとっていた。

下着は高く、吟ネエの持ち金では買えそうもない。

こちらを潤んだ目で見るが、誘惑に負けないように外を見る。

外には乾がいて、腕を組んで辺りを見回していた。

身なりに対しては無頓着だから、入る気もないのだろう。

しかし、いつ警察に連れて行かれてもおかしな程に不審者だな。